東京都府中市の一級建築士事務所です。1988年に意匠設計事務所として始め、2006年から耐震診断・補強設計を二本目の柱にしました。府中市を中心に、約20年にわたって住宅の診断と調査を続けています。
近年は、その実務そのものを道具にすることに時間を使っています。調査報告書の自動生成、手書きスケッチから診断用平面図を起こす仕組み、住宅の記録を改ざんできない形で残す試作。いずれも受託の片手間ではなく、自分の現場で使うために作り、使いながら直しています。
このページには、その中身を書きます。できていないことも書きます。
(一社)東京都建築士事務所協会 南部支部の業務として、耐震診断アドバイザー、木造住宅の耐震診断、ブロック塀等の安全調査を担当しています。担当区分は府中市・小金井市・調布市。
診断は、床下と小屋裏に入るところから始まります。図面が残っていない家がほとんどで、現況の柱・壁・開口を実測して起こし直すことから仕事になります。この「起こし直す」工程が重いので、道具を作りました。それが 02 と 03 です。
耐震診断やブロック塀調査の報告写真台帳は、長らくCAD上での手作業でした。写真を貼り、ラベルを置き、ページを組む。1物件で数時間かかり、作り方が担当者に属人化していました。
2026年6月から7月にかけて、3物件を通してこの工程を組み直しました。現在は、写真60枚・4章・12ページの台帳を、建築士の入力作業「写真タイトルの記入」だけから数分で生成できます。
建築士がiPhoneの写真アプリで、各写真のタイトル欄にこの1行を書きます。これだけが人間の入力です。
この1行が、選定・判定・並び順・ペア関係のすべてを兼ねています。書き出し時にXMP/IPTCメタデータへ埋め込まれ、機械が読める形になります。判定が書かれた写真だけが採用されるので、タイトルを書く行為がそのまま「この写真を使う」という意思表示になります。
現場では時刻を宣言しながら録音します。「ただいま10時29分。基礎の鉄筋の有無を金属探知機にて計測します」。この音声と写真の撮影時刻を突き合わせることで、どの写真が何を写しているかが後から復元できます。
人は見て、考えて、判断する。
機械は、清書・整理・作図をする。
判定そのもの、指摘箇所の描き込み、実測値の確定、総合所見と改修方針。これらは意図的に人間に残しています。自動生成物にはすべて「下書きであり建築士の確認が前提」と赤字で明記しています。
耐震診断の平面図に要る情報は、柱・壁・開口の3点だけです。意匠図の情報量は要りません。そこで図面そのものではなく、数値データ(JSON)を原本にしました。
形を直したいときは、数値を直すだけで済みます。CADデータと確認用画像が必ず一致します。基準寸法は910mm(半間)。通り芯は X1・Y1 と名前で持ち、柱の見付は105mm。補強箇所は色と幅と芯からのずらし量を持たせ、DXF上では塗りつぶしで「図面の上から塗り固める」表現になります。
逆向きの道具もあります。既存の意匠図DXFから通り芯の実座標を読み取り、診断書PDFから壁の一覧を取り出して、両方を突き合わせて補強レイヤ付きのDXFを書き出す。JW_CADを開かずに目で確認するためのPNG出力も用意しています。
住宅の情報は「見えない」ままにされています。診断履歴も、改修履歴も、点検記録も、家には残りません。次の持ち主に渡るのは、建物と登記だけです。
一方で、見えなくていいものは筒抜けになっています。図面は見積のために工務店へ渡り、そこから下請けへコピーされ、間取りと住所と施主名がセットで出回ります。それが今は「致し方ない」とされています。
記録の試作は動く形まで作りました。譲渡不可型のスマートコントラクトを用意し、PDFでもCADデータでも3Dモデルでも、ファイルのSHA-256ハッシュを刻んで、同じファイルを入れ直すと「一致・改ざんなし」と表示されます。3Dスキャンデータは21.3MBから1.27MBまで軽量化しても、形状と実寸を保てることを確認しました。
建築士向けに言い換えると、ウォレットが実印、ハッシュが書類の指紋、刻印が登記、ガス代が登録免許税にあたります。
「屋根が傷んでいる」「このままでは危険」と突然訪ねてくる業者があります。高齢の親御さんを持つご家族から、府中警察との連携も含めてご相談を受けています。
一級建築士が現場を見て、何が行われたのかを書面にします。ご家族からのご相談も承ります。
耐震診断、ブロック塀の調査、建築鑑定、見える家プロジェクトについてのお問い合わせを承ります。